昔の火縄銃というのはどのくらいの威力があったんでしょうか?
  有効射程はさほどでもなかった。 
当時の教本には「相手の白目が見えてから撃て」とまで書かれてるくらい 
(新兵はついつい早撃ちしすぎるというのは今でも一緒だが)。 
だが威力のほうはけっこうあった。 
前線で戦う人間向けの、皮革や薄い鉄板で出来た鎧では防御は不可能。 
資料館あたりをきっちり回って調べてみれば、 
ぽっかり貫通孔があいた鎧なんかはすぐに見つかる。  
  もちろん防御法がなかったわけではなく、竹束とかいろいろテはあった。 
徳川家康なんかは流れ弾を恐れてのことか、「対火縄銃用鎧」なんてのを作らせてる。 
50発以上の火縄銃射撃に耐えた、とか。 
まあ、そんなの着てたらいくら運動神経万能で鳴らした家康でも動けなかっただろうけど。  
    
戊辰戦争で使用されたガトリングガンは戦後どうなったのですか
  人道上認められない兵器として非難されましたが、南北戦争で北軍が採用しました。 
リッチモンド攻略戦でその真価が発揮され、戦後こぞって各国が買い集め、英国、 
ロシア、清朝でも採用されて、清朝では国産化まで行われています。 
戊辰戦争のガトリング砲は、長岡藩が採用しましたが、破壊されたはずです。  
  明治に入って、明治7年4月に北海道開拓使がアメリカにガトリング機関砲二門を 
購入し、8月にはグラント大統領から皇室に一門が献上されています。 
これは、明治天皇に浜離宮で天覧に供され、天皇は射撃まで見学されたそうです。  
  暫くガトリングは鳴りを潜めますが、明治18年5月に陸軍が試験用に一門購入し、 
日清戦争で清国軍より多数のガトリング機関砲を鹵獲して、陸軍ではこれを要塞 
臨時防御用に使用したこともありましたが、既に兵器としては旧式化しており、間もなく退役したようです。  
    
江戸時代の銃で、ドンドル式連発銃ってあるのですが、具体的にどういう仕組みの銃なんですか?
  ドンドル銃とは、火縄銃や火打銃と違って、現在の銃の様に引き金で雷管を打つ銃だそうです。  
    
幕末、人気があったというミニエー銃について教えてください。
  ミニエー銃はミニエー大尉が考案した「ミニエー弾」を使う銃の総称で、 
銃自体もオランダ製、アメリカ製、イギリス製などがありました。 
慶応2年以後はアメリカ製の比率が高くなります。 
オランダ製の口径は16ミリで四条のライフル。アメリカ製は14.5ミリで三条のライフルを有していました。  
  スナイドル銃やアルビニー銃はそのミニエー銃を後装式に改造したもので、後装ミニエー銃とも呼ばれます。 
戊辰戦争では両陣営で使用されましたが、佐幕派は前装式、討幕派は後装式が主力となりました。  
  蛇足ながら、ゲベール銃のゲベールは元々オランダ語の「小銃」という意味でしたが、 
何故か誤って伝えられ、洋式の銃をゲベール銃と総称するようになりました。  
    
火縄銃(戦国時代)の威力ってどれほどだったんでしょう。
  実験では19世紀初頭の標準的な火縄銃で、有効射程は50~100メートル。 
貫通力は3~4ミリの鉄板を貫通するくらいとありました。 
ただ、有効射程に関しては色々な口径やら火薬量によってもが違いがあるので一概には言えません。 
あくまでも標準的なものとお考え下さい。  
    
マスケット銃と火縄銃て、同じ物なんですか?
  正確であり、間違いでもあるにゃ。 
火縄銃は火縄式の点火機構を持つ銃の総称。 
マスケット銃は元は城塞防衛用の大型の銃器で、 
そこから転じてピストルより大きい銃床付きの銃の総称になったにゃ。  
    
一応村田銃が三八の元になったのでは?
  ちゃいます。 
三八式は三十年式小銃がベースですが、これはモーゼルGew88小銃を参考に有坂中佐が開発したもの。 
装弾機構やボルト形状が違うので元とはいえないです。  
    
元が威嚇用に鉄はう(?)ってのを使ってたけど、世界初の火縄銃は何世紀頃にどこの国で造られたんですか?
  至正11年(1351年)の銘がある銅の筒が発見されとります。 
竹製の筒(射程4m)はもうすこし前からあったようです。  
  竹製の方はおもちゃの打ち上げ花火を水平に撃つようなモノでしょう。  
     現存している最古といわれる銅銃には、明の洪武五年(1372)在銘の手銃や 
北ドイツのタンネンベルク銃筒(1399)などがあります。 
これらは銃筒上部の火皿に手で火をあてがい着火する物でした。 
火縄による撃発装置が組み込まれた銃のはっきりした発明者や場所はわかりませんが、 
1450~70年のあたりのようです。 
これらは北欧ではマスケット、南欧ではアルケビュースと呼ばれました。 
ちなみにホイールロック式(100円ライターみたいな着火方式)の銃は 
1515年ドイツのニュールンベルグで、フリントロック式は 
1648年にフランスで発明されたと言われています。   
    
ゲベール銃とはどんな銃なのでしょうか?
  火縄銃の発射装置を火打石式にしたものですね。 
火縄銃とくらべて、雨天時の射撃性能は向上したようですが、それ以外は火縄銃と同じく先込め式のため連射性に難があり、 
ライフリングもないため命中精度でも優位に立てるものではなかったと記憶しております。  
  火縄銃の火縄を火打ち石に変えただけのもので、当時においても 
まったく新兵器ではなく、輸出したヨーロッパでは30年前にすでに使用されなくなっていました。 
射程距離、命中精度も火縄銃と同等です。  
  ゲベール銃。ふつうは、フリントロック式からコンバートされて、 
パーカッションになってるオランダ・フランスの前装式の滑腔小銃の総称。  
  固有名詞じゃないよ。オランダ語の「小銃」が、ゲーベル。 
前装式の滑腔銃は、日本ではゲーベルと呼ばれた。 
フリントロック式からのコンバートは、簡単だからほとんどが改造されている。 
いまは、フリント式のゲーベル銃の方が少ないので、買うんだったらこっちの方が高い。  
    
戦国時代に使用されていた火縄銃は、M16やAK74などのライフルよりも一発の威力は上であると聞きましたが、本当ですか?
  そんなことはないと思うけどなぁ。 
ちょっと調べたがAk47の場合 
初速=2400 fps 初活力=1598 ft. lbs  
  火縄銃のデータはないんで代わりに現代の.50口径前装ライフル、 
黒色火薬系を使った時のデータで 
初速=1399 fps 初活力=778 ft. lbs  
  なんて出てる。戦国時代の銃がこれより上というのは有り得ないだろう。  
     たぶん、威力とは人間に対するストッピングパワーの 
ことを言っているんだろう。それなら、部分的には当たってる。 
鉛むきだしで貫通力が弱い火縄銃弾は、体を撃ち抜けてしまうことがない。 
だから弾の持つエネルギーがすべて人体に向けられる。 
しかし、それはかなりの至近距離での話。  
  火縄銃といっても口径がピンキリ。 
1分玉の4ミリ弱から、中筒の上限25匁玉=25ミリ強 
まである。それより大口径は大筒になる。 
戦国時代もっとも一般的に用いられたのは口径10ミリから16ミリ 
くらい。初速が遅いとしても、ストッピングパワーは結構なものになるだろう。  
  それでも高初速・高精度の現代の銃にはとうていかなわないし、 
貫通力は比較にならない。 
資料がちょっと手元にないのだが、おおよその目安として 
火縄銃は現代の同口径のピストル弾よりもやや劣るくらいの威力 
かな。30mで鉄板2~3ミリ貫通がやっと。 
距離が倍なら威力も精度も4分の1くらいに落ちる。 
現代の銃はそんなに落ちないよ。